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農機具の生産台数と日本・世界でのシェアとは
更新日:2021年12月6日
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スタッフ
トラクターなどの中古農機具を販売していると、初めて農業をスタートし農機の購入を検討している人から「どのメーカーのものが定番なのでしょうか?」と相談を受けることがたまにあります。
一度農機具を購入したことがあったり、何年も農業を続けている人にとっては、例えばコンバインであればシェア1位はここで、第2位はここ、こういう特色がある…など大雑把には知っている方が多いです。
そしてその知識を買い替えなどの際生かせるのですが、初めての人の場合「業界地図」自体あまりわからないので選択肢がとても多く感じてしまい、戸惑う人も多いようです。
そこで今回は農機具についてどの企業がどのくらいのシェアを占めるのか、などについてお伝えしていこうと思います。
日本における農機具の生産台数は
「台数」ベースで最も多いのは「刈払い機」
日本農業機械工業会が算出している「日農工統計」というデータを見ると、各農機具の生産台数が分かります。
最新の2020年のデータだと、台数の多い順に
○刈払い機…79万3386台
○防除機…18万8779台
○トラクター…12万0061台
○耕うん機…9万3693台
○田植え機…2万1254台
○コンバイン…1万3438台
などとなっています。
さすがに刈払い機・防除機は単価がそれほど高くないこともあり台数については量産されていますね。
それに次いで高単価ではあるものの需要の高いトラクターが続いています!
ちなみにこれはすべてが国内向けということではなく、トラクターと刈払い機の約25%、防除機の約20%は輸出向けです。
逆に田植え機や耕運機などは輸出に回されるのは10-15%程度と低めで、多くは国内向けになっています。
前年と比べて大型農機の生産は縮小傾向
ちなみにこの生産台数をその前年(2019年)と比べてみると、大型農機・特にトラクターなどで国内向けのものが減少している傾向があります。
例えばトラクターであれば国内向け生産台数は前年比76.3%、耕うん機は85.1%、田植え機が91.4%、コンバインは79.2%といった具合です。
これは何といってもコロナの影響で流通なども停滞し、需要減・売り上げ減を見越した生産縮小と言えますし、また部品などの調達・輸入に支障をきたしたからという可能性もあります。
いずれにせよ「農機を買う側」としては需要自体が落ちるということは考えにくいので「販売されている新品の数が減り、中古農機を購入するという選択肢が大きくなった!」と見ることができますよね!
また同じ農機でも国内向けの防除機(噴霧器など)は前年比118.2%と逆に増えているので、これは本当にコロナ対策が影響している可能性もあると言えます。
トラクターで最も多いのは20-30馬力
ちなみに、農機の中でもっとも「金額ベース」で多いのはやはりトラクターです。
2020年の生産台数でみていくと、国内向けでは
○20馬力未満…5601台(約19%)
○20-30馬力…10274台(約35%)
○30-50馬力…7356台(約25%)
○50馬力以上すべて…6082台(約21%)
となっており、20-30馬力帯が最もメジャーとなっているのが分かります。
ちなみにこの構成も変化が起きているようです。
上記のようにトラクターは全体で、国内向けだと前年比76.3%に生産台数が減少しているのですが、
そのなかでも比較的小型の20馬力未満は前年比88.8%にとどまるのに対して、馬力が大きくなるほど減少幅が大きくなり、50馬力以上では64.3%と、何と前年の3分の2程度の台数しか生産していません。
コロナ禍などと関係なく、どちらかというと大型よりもコンパクトなタイプに、生産がシフトされていると言えそうです。
日本の農機具・売り上げシェアランキング
農機具全体の会社売り上げ別シェアは
データ上「国内向け」「輸出向け」に売り上げを分けることが難しいのですが、会社全体としての売り上げでシェア順位を見ていきます。
○1位…クボタ
クボタは世界でも第2位の売り上げを誇る日本一の農機メーカーです。
売り上げは2020年で年商1兆8500億円と巨額ですが、実はその7割近くが海外のもので日本の売り上げは3割に過ぎません。それでも国内の売り上げトップシェアである約35%を占めています。
○2位…ヤンマー
ヤンマーは売上合計約7800億円(2020年)を誇る農機具メーカー大手で知名度も高く、ちなみに世界ランキングでも5位に入っています。 天気予報などのCMで覚えている人も多いかもしれません。
元々発動機(エンジン)を専門としていた会社なのでディーゼルエンジンの分野が強く、このことから同社のトラクターに代表される農機具は故障が少ない、という特色を持っています。
○3位…イセキ(井関農機)
売り上げは1490億円と2位のヤンマーとやや開きがありますが、イセキといえば思い浮かぶのは当時画期的な田植え機であった「さなえ」シリーズです。
種類別でみていくとどちらかと言えば早苗シリーズに代表される田植え機やコンバインに強く、以前はどちらもシェアトップになっていたほどで、現在でもそのジャンルでは存在感を放っています。
○4位…株式会社やまびこ
株式会社やまびこは、2008年に「株式会社共立」と「新ダイワ工業株式会社」が合併することで誕生した農機メーカーで、2020年の売り上げは約1320億円です。
農機の中では特に刈払い機や防除機など、どちらかというと小型のものに力を入れているメーカーです。
○5位…三菱マヒンドラ農機
名前の通り三菱系列の、農業機械全般を生産・販売する会社で島根県に本社で、会社としては1980年に設立されたばかりで、売り上げは2019年3月期で約437億円です。
耐久性と安全性をかなり重視したモデルが多いので、古めの中古でも人気が出やすいメーカーの一つと言えるでしょう。
世界の農機具・売り上げシェアランキング
世界の農機市場規模は、調査会社で数値のばらつきはあるものの2019年現在で約1200~1500億ドル(13-16兆円)と言われています。
人口の増加などに伴って市場自体も年6%-9%成長していく…と予想されています。
成長する世界の農機市場に挑戦する日本の農機メーカーも多く、特に日本ランキング1位のクボタ、2位のヤンマーについては世界ランキングのベスト5にも食い込んでいます。
ちなみに2020年の世界農機売り上げベスト10は、
1位…ディア・アンド・カンパニー(米国)…13.3%
2位…クボタ(日本)…9.5%
3位…CNHインダストリアル(イタリア)…7.3%
4位…アグコ(米国)…6.1%
5位…ヤンマー(前年は6位、日本)…5.0%
6位…クラース・グループ(ドイツ)…3.2%
7位…トロカンパニー(米国)…2.3%
8位…マヒンドラ・マヒンドラ(インド)…1.5%
9位…SDF(イタリア)…1.0%
10位…井関農機(日本)…0.95%
となっており、トップ10に日本の農機メーカーが3社も食い込んでいるのはすごいですね!
傾向として日本市場においては特に大型トラクターなどで海外メーカーのものをよく見かけます。
やはり大馬力で、一度に大量の作業ができるものについては海外メーカーに一日の長があるのは事実のようです。
耕地がかなり広い場合など、海外メーカーの農機も選択肢に入ってくると思いますが、故障した際のサービスや修理などの体制がどこまで受けられるか…というのが海外メーカーの悩みともいえます。
こうしたことをはかりにかけて判断していく必要があるでしょう。
シェアの大きいメーカーの農機を選ぶ3つのメリット
私は、農機についてあまり知識がない人ほど、ひとまずは国内大手メーカーのものを優先して選んだ方が良いと思っています。 その理由は3つあります。
安心感がある
大手ほど多くの台数が出回っていることもあり、口コミや強みなどの情報が多く存在します。
「みんなが使っている」という心理的な面もあるのですが、大きい安心感を得ることができます。
また不具合や故障などに遭遇しても、相談相手はネット上・リアル共に見つけやすいのは間違いありません。
これは不要になって売却や処分をする場合についても同じことが言えるでしょう。
耐久性があり、古くても取引されやすい
国内大手メーカーの農機は、総じて耐久性もあり中には30-40年経過したものでも中古市場で通用しています。
またクボタやヤンマーなどは日本では通用しない…と判断されても海外ではまだまだ評価されるなど、かなり長期間使用してもまだ値段が付く…というケースがかなり多いのです。
大手は販売している種類も多いのですが、改良点もまた小規模メーカーよりはるかに多く蓄積していくので、「長持ちするかどうか」という点においては大きな差がついていると言えます。
修理やサービスの体制が整っている
国内メーカーは大手であるほど、全国に数多くの支店・支社・営業所・そして修理工場を持っています。
これは海外メーカーの輸入品と比べると大きなアドバンテージと言えます。
また一般の修理工場、サービス業者などを見ても大手メーカーであれば修理事例も多いため、対応できる可能性も高くなり、また備品・部品なども代替品を用意出来るなど利便性がかなり高いです。
トラブルの解決という意味でも、また買った農機を長持ちさせるという意味でも、こうしたサービス網・情報量が豊富な大手メーカーを選ぶのはお勧めです。
もちろん会社の名前で選ぶのがすべてではありませんが、農機全体やその種類(トラクターなど)のシェアを気にしながら購入することは、特に慣れていない方にはお勧めです!
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